登場人物 | ||
学年 | 名前 | |
3年 | 亮太 | 現キャプテン。今回の首謀者、のはず? |
大樹 | 3年生で一番のチビ。しかも、まだ・・・。 | |
2年 | 雄大 | 3年の悪だくみを察知し、ドリンクを飲まず。 |
拓也 | 人望厚い次期キャプテン。しかし? | |
1年 | 翔太 | 最初の犠牲者。でもまだ出そう。。。 |
広大 | 翔太の友達。ペットボトルに放尿。 |
一目散にグラウンドのトイレへ向かう少年たち。 その中には首謀者のはずのキャプテン亮太の姿があった。 1時間前…。 (あれ…なんだかオレもションベンしたくなってきたぞ…) 3年生は全員、(利尿剤なしの)アクエリアス以外何も飲まないという、万全の計画を整えていたはずだが…。 亮太は少年たちが恥ずかしそうに顔を赤らめて放尿する様子を、他の3年たちと一緒にあざ笑っていたのたが、それが急に膀胱に強い尿意を感じ始めた。 (ヤバい、漏れそう…) あわてて股間を抑える亮太。 実は用心深い雄大が、アクエリアスを配られたときに、そっと亮太のと入れかえていたのだ。 亮太のような3年生は1・2年生より膀胱が広いため、尿意を感じるまでに少し時間がかかったのである。 バスの中は満タンに小便の入ったペットボトルが散乱していた。 安堵の息をつくのもつかの間、少年たちはそのペットボトルをうらめしそうに眺めた。 強烈な利尿剤のため、一度排出したぐらいじゃ尿意は収まらないのだ。 広大が情けない顔で翔太に話しかけた。 「ねえ翔太…なんだかまた催してきちゃった…どうしよう…」 さっき漏らして着替えた翔太も苦痛に顔を歪める。 「…僕も……また漏らすなんていやだよ…」 空のペットボトルは残っておらず、雄大をのぞく1・2年生はため息をつきながら貧乏ゆすりを始めた。 さすがにまた手を挙げるのはあまりにも恥ずかしい…。 3年生たちは少年たちの災難に気付き、またニヤニヤし始めた。 (今度こそ漏らせー!) (オレは広大のが見たいんだー) (オレはやっぱり直人がおもらしするとこが見たいー) だが首謀者の亮太は1人そのひそひそ話に加われない…。 |
チャーリーさん |
トイレから戻ってきた亮太にほかの3年たちが声をかけた。 「おいどうしたんだよ亮太。バス乗る直前にトイレ行ってなかったか?すげースピードで走ってたじゃん。」 「なんかわかんねぇけど1時間くらい前からずっと行きたかったんだよ!」 「お前もしかして間違って1,2年と同じ利尿剤入りの飲んだんじゃねぇの?」 「いやそんなはずは・・・・。」 「先ぱ〜い、今何を話してたんですか?利尿剤がどうとか聞こえましたけど。」 雄大が亮太たちに声をかける。 「え?何が?そんなこと言ったか?」 慌てて3年達はとぼけだした。 「ま・・・最初から知ってたんですけどね。あんたたちが利尿剤入れるの見てましたから。」 「・・・・・・・・・雄大お前・・・。」 「ほら、入れるときの動画も、バスに乗ってから今までの実に4時間分のボイスレコーダーも僕の携帯にちゃんと納めましたから。フフフ・・・。」 3年達の顔が青ざめる。だが亮太一人が怒りをあらわにした。 「おいてめぇ調子こいてんじゃねぇぞ!だったら何なんだよあぁ!?」 「いいんですか?僕の親、検事と裁判官ですよ?それにあんたらの学年に高橋亮丞っているでしょう?」 「はっ、あの気持ち悪い陰キャラ君だろ?それがどうしたよ。・・・ん?高橋?」 「そっ、彼僕の従兄弟でしてね。彼の親で僕の叔母はPTA会長なんですよ。つまり、僕のバックにはこれだけの権力がついているんですよ。もし僕がばらしたら、少なくともあんた達停学でしょうねぇ。もうまともな高校には進学できないんじゃないですか?」 亮太も他の3年同様青ざめだした。性格はアレだが、成績自体はかなり上位にあり、教師の前では優等生を演じていた亮太にとってあまりに危機的状況だった。 「雄大・・・何をすればいいんだ?」 「僕も翔太も保健委員でねぇ、明日先生に頼んでシフト変えてもらって僕らが担当しますから、皆さん全員で授業中にお漏らししてもらえますか?あれだけ翔太やみんなを辱めたんだからそれくらい当然出来ますよね?先輩♪」 |
リンさん |
「そ・・・そんなこと・・・・」 「あ〜れぇ〜なんかいいましたか先ぱ〜い」 雄大は三年生をからかうように言った。 「わかっ・・・・た」 「んっ??聞こえないな〜〜〜???今なんていいました???」 「わかったよ。。。」 三年の一番身長の小さい大樹がまるで幼稚園児のように泣きながら口をひらいていった。 「大樹さんはいいですよ。おもらししなくても・・・だって大樹さんまだおねしょしてるんでしょ??この前一人でおむつ買ってるとこみちゃいましたし・・・だいち大樹さん一人っ子でしたよね???」 |
daiさん |
「うっ・・・うっ・・・・・」 大樹は悔しさのあまり泣きながらしゃがみ込んでしまった。 それを見た亮太がゆっくりと口を開く。 「・・・・・雄大。わかった。俺がやってやる。だけど他の奴等は勘弁してやってくれないか?たのむ、この通りだ!」 亮太は手と膝を地面につけ雄大に土下座した。 「ふ〜ん、謝るならみんなの前で謝れば?ま、みんなが許すって言うんなら許しますよ。でも、これだけの数の部員がいたら一人くらい親に報告するでしょうねぇ。そしたら結局あんたら停学なんじゃないですかアハハハハ!」 雄大が冷たい視線を送りながら見下すように笑う。 「雄大先輩、もう・・・・いいんです。」 雄大と3年たちが驚いたように声の方を向く。 声の正体は翔太だった。隣に広大もいる。 「お前らトイレに行ったの一番最後だったんじゃ・・・どうしてこんなすぐに帰ってきてるんだ?」 雄大が驚いて口を開く。そして二人のジャージに目をやると二人ともぐっしょり濡れていた。 「僕、あの後バスの中でもう一度お漏らししちゃったんです。でも、広大がばれないように隠してくれて、しかも僕だけ恥ずかしい目をしないようにって一緒にお漏らししてくれたんです。」 確かに真後ろに座っていた雄大ですら気付かなかった。それだけ広大の手際が良かったということだ。 「僕、小学生のときにも一度お漏らししたことあって、そのときはいじめられたんです。 でも今度は広大が僕に気を遣ってくれて・・・だからそれだけで十分です。」 「俺も漏らしそうになったとき翔大が自分のことで大変なのにずっと心配してくれてて、すごく嬉しかったんです。」 2人の話を聞くうちに、雄大は口を開くことが出来なくなり、3年達は自分達のしたことが恥ずかしくなりみんな泣き出していた。 |
こうさん |
既に着替えを使い切ってしまった翔太に一番体格の近い大樹が着替えを貸し、その後亮太は雄大だけを残し全部員を家に帰した。 「ふぅ・・・すっかり僕が悪者ですねぇ。で、話って何です?まさか殺したりしないですよねハハハ!」 「雄大・・・・・・二日後の引退式でお前をキャプテンに任命したいんだ。」 これまでの話と全く違う話題であることに雄大は驚き目を丸くした。 「僕は先輩が拓也を推してたって噂で聞きましたけどね。」 「ああ、そのつもりだった。でも今はお前の方がいいと思ってな。」 「ばらされるのが怖いからですか?」 「そんなんじゃねえよ・・・・。」 少しの間沈黙が生じる。 「僕は、こんな冷酷な人間ですよ?」 「違う。お前は俺たち3年を嫌ってるだけだ。後輩には優しいだろう?翔太たちのことを誰よりも考えていたのはお前だった。お前なら頭も切れるし慎重だし、みんなのことを思いやってやれる、違うか?」 「違いますね。俺の思いやりなんて、翔太にも広大にも大樹さんにも・・・キャプテンよりも・・・・・。先輩、どうしてバスから降りた後、渡辺先生がみんなを集めないで点呼もしないで帰ったか知ってますか?」 「・・・そういえば・・・変だな。」 「拓也が翔太の親に今日のこと連絡しないであげてくれって必死に頼んでて、みんなを集める暇がなかったんですよ。・・・僕は先輩達を追及することしか頭になかった。でもあいつは・・・。やっぱり本当に向いてるのは・・・拓也ですよ。」 「そうか・・・でもせめて副キャプテンならどうだ?」 「ふっ・・・考えておきますよ。」 そう言い残して雄大はグラウンドを後にした。 そして二日後の引退式。 そこには祝われる立場の大樹が来ていないことに雄大は気付いた。 |
ju-さん |
「みんなに謝っておきたいことがある・・・。」 亮太はおもらし大作戦のすべての事情を話した。ただし、首謀者は自分ひとりということにして。 誰も口を開かなかった。時間はたんたんと過ぎ、新たなキャプテンと副キャプテンが紹介された。 拓也はいたって簡潔に挨拶をした。 だが、雄大の言動に亮太は驚かされた。 「僕は・・・大樹さんに謝らないといけません。先輩達を責めておきながら、自分だけこれじゃ・・・後味悪いですからね。亮太さん、後で大樹さんの家に連れて行ってください。」 式が終わるとすぐに亮太と雄大は大樹の家に向かった。 落ち込んでいた大樹も雄大の謝罪で和解した。 これですべてがうまく行った様に思われた。 だが、式が終わり二人が大樹の家に向かい始めたころ、新たな動きが見え始めていた。 「翔太、ちょっといいか?」 翔太を呼び出したのは新キャプテン拓也だった。 「さっきの雄大の話、少し変だったろ?どうして亮太さんだけが犯人なのにあんな話になるのかな〜って思ってさぁ。お前、なんか知ってんだろ?全部吐けよおい!」 これまでずっと優しくて世話好きだった拓也が豹変したことに翔太は恐怖を隠せなかった。拓也はキャプテンになりたいがために今まで本性を隠していただけだったのだ。 これまでの話はほんの序章にしか過ぎない。 翔太から真実を聞き出した拓也は、これから長きにわたってサッカー部で続いていく、おもらし大作戦の真の黒幕として動き出すのだった。 |
レアさん |